★貫祿も増してきたお馴染み正統派テナーサックスの人気スター:グラント・スチュワート(1971年カナダのトロント生まれ)の、今回はピアノレスのシンプルなトリオによる一編。
●締まりとまろやかさが絶妙に合わさった、肉太くも弾性ある美味しさ抜群のサックス・トーンによる、ハード・ドライヴィング&マイルド・ブルージーな、溢れ出る泉のように流麗で伸び伸びとしたメロディック・プレイが、清々しくも渋い陰影の利いた実に芳醇な映えを見せた、会心の充実内容。腰を据えて直線コースをダイナミックにひた進む、といった感じの、「メロディー」と「スイング」を最重視した、ブルースの旨味も濃い単純明快なハード・バップ大会!、が雄々しげに決め込まれ、ドッシリしていながら鋭敏にアタックしてくる、ベース&ドラムの強壮で歯切れよい躍動ぶりに頼もしく支えられ、また壮烈にプッシュされつつ、スチュワートの、ごく自然体で豪快滑脱な、どこまでもおおらかに美メロを歌いきる真っ向勝負のアドリブ奮戦が、悠然とした冴えを、盛り上がりを呈してゆく。力八分目で極めてスムースに渦巻きorウェイヴを描くような、丸みと温もりを帯びた「流線美」溢れるリラクシンな哀愁フレージング、を基軸としながら、並行して、より武骨げで逞しい、ビシッバシッとパンチ・キック!を噛ましてくるが如きシャープ&ソリッドな咆哮ワザ、も的確に挿入して、中々鮮やかなメリハリをつけてゆく、という、その、一聴リキみなく豪放磊落そうでいて何げに構成にも長けた、「ハード・バップ・テナーの王道」を行く懐広い堂々たる語り口は、全く見事。Sikivie(b)の、バップ魂みなぎるコク旨な闊達ソロも聴きもの。
1. A Time To Smile
2. Everything I Love
3. I'll Never Be The Same
4. Everything's Coming Up Roses
5. The Thrill Is Gone
6. This Is New
7. I Surrender Dear
8. Uranus
9. Is That All There Is
Grant Stewart(ts)
Paul Sikivie(b)
Phil Stewart(ds)
2014年11月10日NYCのZebulon Sound録音
レーベル：
Cellar Live
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紙ジャケット仕様CD
