★1974年録音の「We Could Be Flying」、2002年録音の「New York Moments」、2006年録音の「Together Again」、と、過去にも優れたコラボ作品を残してきた、カーリン・クローグ(1937年ノルウェーのオスロ生まれ)とスティーヴ・キューン(1938年ニューヨーク州ブルックリン生まれ)、の名コンビが、今回はニューヨークで再会したデュオ基本(途中エリック・アレクサンダーとルー・ソロフがゲスト参入)での一作。
★柔らかな人肌の温もり感と爽涼な潤いを兼備し、微妙に渋い掠れ感も含んだ、ニュアンスに富むクール&スモーキーな味わい深い美声による、軽妙瀟洒でいて、超デリケートに情緒の機微を掬い取ってゆくような、実に豊かな包容力を感じさせる優しいリリカル歌唱が、フレッシュかつ芳醇に落ち着いた華を成し、端正なクリアー・タッチでエレガント&ブルージーに詩情を活写する、ジェントルマンらしい風格とデリカシーに溢れたピアノの滑脱プレイ、も粋で奥深い魅力を悠々揮いきった、さすが熟練の懐広い妙味がじっくり満喫できる好演内容。
★インティメイトなリラクゼーションを底流させつつ、緩急のメリハリは豊富につけられる、さりげなく息もピッタリな掛け合い的コンビネーションの興趣もゴキゲンに際立った、洒脱でハートウォーミングな行き方が続き、両者の、絶妙に抑制の利いた、簡潔にして含蓄豊かな語り口が何とも清々しい醸熟ぶりを見せてゆく。クローグの、歌詞とメロディーを大切にし、情感もしっかりこもった丹念で温かな節回し、を基本として大いに和ませてくれつつ、要所要所で結構スリリングに即興的フレーズも滑り込ませてキリッとシャープな空気感をも醸成するその、優しさ・柔和さの中に自ずと妖麗さも備わった歌声のあり様、が誠に感動的に際立っており、またキューンの、折り目正しくもイナセげっぽい吟醸味たっぷりの闊達な小唄派バピッシュ妙技、の「趣味のいいコク旨さ」も絶品だ。
★E.アレクサンダーのレイジーでスムース・ドライヴィングな流麗ブロウや、L.ソロフの哀愁溢れる濃い口ソウルフル節、も好アクセント。
1. アイム・オールド・ファッションド
2. モルデの夜明け
3. 丘に住む人
4. スカンディア・スカイ
5. 君に捧げるメロディ
6. 今宵の君は
7. ラヴ・ケイム・オン・スティールシー・フィンガーズ
8. サンキュー・フォー・エヴリシング
9. ユー・ドゥー・サムシング・トゥ・ミー
10. リトル・バタフライ
11. ディド・アイ・リメンバー
12. トレイン
13. タイムス・ゲッティング・タファー・ザン・タフ
14. いつもさようならを
Karin Krog カーリン・クローグ(vo)
Steve Kuhn スティーヴ・キューン(p)
Eric Alexander エリック・アレキサンダー(ts on 4,10,12,13)
Lew Soloff ルー・ソロフ(tp on 2,9,13)
2013年10月30日,31日 ニューヨーク録音
レーベル:
Muzak
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在庫有り
国内制作CD