★前作のコルトレーン・トリビュート編:「I Wish I Knew」も好評だった、オランダ・シーンで長らく活躍し、現在はベルギーのアントワープに本拠を置いているという、キャリア豊富な女性歌手:イヴォンヌ・ウォルター(オランダのEindhoven生まれ)の、今回はアン・バートンに捧げられた一編。伴奏は、ピアノ・トリオ+曲によりアルトサックス、という体制で、曲目は、バートンの名作「バラード・アンド・バートン」「ブルー・バートン」からの選曲が中心(この日本盤にのみ、録り下ろしのボーナス・トラック「宵のひととき」を追加収録)。
●陰影豊かで艶のある、落ち着いた中低音の端正な美声による、一語一語にニュアンスを込めて丁寧に語りかけるような、穏やかでいて切々とした和みめ調子のアンニュイなリリカル歌唱が、非常にシブくて感動的な、奥深い魅力をじんわりと放った好演内容。
★インティメイトな寛ぎに溢れながら背筋はキリッと伸びた感じの、バラードを中心としたハートウォームでメリハリも充分の滑脱な道程が続き、堅固でキレ味抜群のピアノやパンチの利いたアルトサックス、らの活躍も中々テイスティーに際立つ中、ウォルターの、柔和で優しい、それでいてクールにサバけたところもある、バランス絶妙の中々ドラマティックな歌い回しが、瑞々しくも芳醇に好調ぶりを見せる。歌詞とメロディーを大切にしつつ、一言一言を噛み締め、旨口のブルージー・ソウルもたっぷり込めて抑揚に富んだ劇的な、哀切な流れを形作ってゆくその、ビリー・ホリデイにも底通するような深いグルーミーさ(〜暗さ・けだるさ)と、よりスッキリ端麗で軽妙瀟洒なクールネスやウィットっぽさ、を自然に併せ持った何ともシブ清々しい歌声は、サラリとしていながら濃やかな含蓄味にも富んでいて、実に風流かつ蠱惑的だ。
1. アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
2. 柳よ泣いておくれ
3. ソング・フォー・リブラ
4. アイ・ウィッシュド・オン・ザ・ムーン
5. イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ
6. アイル・ビー・アラウンド
7. ドント・エクスプレイン
8. ホエア・キャン・アイ・ゴー
9. ゴー・アウェイ・リトル・ボーイ
10. オールド・デビル・ムーン
11. ユーヴ・チェンジド
12. ザ・ウインド
13. いそしぎ
14. 宵のひととき (※日本盤のみボーナス・トラック)
Yvonne Walter イヴォンヌ・ウォルター(vocal)
Sabin Todorov サビン・トドロフ(piano)
Mary Hehuat メリー・フーアート(bass)
Eric Ineke エリック・イネケ(drums)
Rony Verbiest ロニー・ヴァービエスト(atto saxophonr)
2012年8月,2013年3月ベルギーのアントワープ録音(原盤:Fever Music bvba / September)
レーベル:
Muzak
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国内制作CD