90年代にはボーヒュースレン・ビッグ・バンド(スウェーデン)に在籍し、その後、南アフリカで活動していた時期もあったという、ノルウェーのユニークな女性トランペッター:Hildegunn Oiseth(1966〜)の、トミー・コッテルらスウェーデンの名手達と組んだカルテット作品。まろやかさとシャープネスを併せ持ち、ハスキー・スモーキーな掠れ感をも呈した、陰影深くきめの細かいトランペット・トーンによる、端正で荘厳、かつ、ピリッとした硬質的スリル溢れるビタースウィートなリリカル・プレイが、フレッシュ&ロマネスクに味わい豊かな絵を飾った好演内容。歌心に富むも決して甘すぎず、独特の「北欧フォーキー」な匂いも微妙に仄めかした、アクティヴ抒情派タイプの現代バピッシュ奏演が繊細に、それでいて骨太堅固に腰を据えて紡がれてゆき、Oisethやコッテルの、ハードボイルドで翳のある、表情濃やかなアドリブ妙技が実に瑞々しく凛々しい、鮮度と旨味満点の映えを見せる。Oisethの、硬派軒昂な緊迫感みなぎるフリー・ブローイング調の苦味走ったダイナミック節と、より耽美的でメランコリックな、ロマンティシズムに満ちた優しい哀愁フレージング、を自在に交錯させての、メリハリある劇的ストーリーテラーぶりが何とも爽やかな、そして余情深い魅力を毅然げに揮いきっており、一方コッテルの、ブルージー・ソウル充分のストレートアヘッドな奮戦も、中々芳醇に際立っている。
1. Sacred
2. Chasing My Own Tail
3. Sart
4. A Day In Valencia
5. Roxy
6. Vinternatt
7. Nattjoik
Hildegunn Oiseth(tp)
Tommy Kotter(p)
Peter Janson(b)
Anders Kjellberg(ds)
2013年6月スペインのStudio Barxeta録音
レーベル：
Losen
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紙ジャケット仕様CD
