ミシガン州のデトロイトやアン・アーバー界隈で活動を続け、Unknownレーベルよりの諸作品に支持を集めてきた正統派ピアニスト:リック・ロウの、ロバート・ハースト(b)参加の強力トリオによる一編。滑らかで弾みよくキレもある、小石を転がすような美味しいピアノ・タッチによる、リズム感抜群でブルース・フィーリング満点の溌剌としたリリカル・バピッシュ・プレイ、が実に爽やかな映えを見せた快投内容。何より歌心を大切にしたメロディアス&スウィンギンな王道娯楽的ハード・バップ快演、が楽しげに紡がれてゆき、機転に富んだベース&ドラムのメリハリあるサポート、に巧くプッシュされながら、ロウの、表情豊かにしてあくまでオーソドックスな、ツボを心得た抒情派バッパーぶり、メロディストぶりが何とも軽妙瀟洒に、そしてスッキリ簡潔に、清々しい魅力を放ってゆく。渋くて硬派なバップ・イディオム技と、粋な小唄調のファンキー節、の掛け合わせ展開を最得意の根幹とし、吟醸味の利いた洒脱で締まりある文脈をキビキビと歯切れよく編み上げて見せる他、モード色を強めたハードボイルドなダイナミック・アクションや、モンク寄りの硬質的・突起的パーカッシヴ弾奏、一転してしっとり優しく繊細でロマンティックな耽美的バラード表現、といった転回にも瑞々しい味わいを揮いつつ、しかも全体を通じて、センスよくハートウォーミングな情感や機微、加えて、舞い躍るようなリズミックなグルーヴ感、がしっかり保たれる、という、その何げに含蓄深い語り口の妙は絶品だ。
1. Swing Theory
2. Thelonious Knows How
3. Spiderman
4. A Whole New World
5. Perfect Fire
6. Something There
7. Dizzy's Digs
8. Beauty And The Beast
9. Part Of Your World
10. One Jump Ahead
Rick Roe(p)
Robert Hurst(b)
Karriem Riggins(ds)
2011年9月14,15日録音
レーベル：
Unknown
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CD
