★澄みゆく静けさの中に無数の星がまたたく。キャンバスに描かれたロマンティックなラヴソング。
●しんと凍てつく冬の夜、澄みゆく静けさの中に無数の星がまたたく。空からピアノの音粒が舞い降りてくるとベースは低い鐘を鳴らし、シンバルがきらめくような足取りで現れた。なんだか素敵なことが起こりそうな予感! 音楽とイマジネーションがひとつになる、幸せな時間のはじまりだ (M1)。ドイツのピアニスト、ウォルター・ラングによる澤野工房の一作目が、この『Starlight Reflections』。一聴すればわかる、これは冬夜の12の情景を切り取ったアートワークだと。サイドにはスウェーデンからのベーシスト、トーマス・マークッソンと自国ドイツのドラマー、セバスティアン・メルクが起用されている。ベースは歩いても歌っても美しく、ドラムは剛柔のバランスが良い。ピアノはひんやりとした叙情性が印象的で、肘や手首の柔軟さに裏づけられた技量はもとより、旋律やヴォイシングにおける色・明・彩の巧みさが光る。When Lights Are Low (M2) がなんともロマンティックで可愛らしいこと! E♭のキャンバスに描かれたこのラヴソングは、彼らの手によって遠い冬のおとぎ話に変身する。可憐なピアノと軽やかなリズム、聴かせるツボを心得た演奏だと思う。ピアノのソロで始まるI’m A Fool To Want You (M11) は、旋律の最初の3音をモチーフに対位法が用いられて面白く、たっぷりのイントロと続く本編にはまるで縫い目がない。透き通った音色はつど優しく、何かの秘密のように夜の余韻がたなびく。ウォルター・ラングは今後、私たちにどんな新しい景色を見せてくれるのか。今からとても待ち遠しい。(Text by 小島万奈)
1. Waltzin’
2. When Lights Are Low
3. Could We Meet?
4. In the Wee Small Hours of the Morning
5. Sweet and Lovely
6. No Moon Night
7. Steppin’ In
8. I'll Remember Bill
9. Misty Mountains
10. Snow Castle
11. I’m a Fool to Want You
12. Without a Song
Walter Lang (piano)
Thomas Markusson (bass)
Sebastian Merk (drums)
Rec: Mar. 2013
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