●D・ヘイゼルタインに師事したこともある、ウィスコンシン州出身、現在はNY拠点の正統派ピアニストS・アイナーソンの、トリオによる初アルバム。カチッコツッと硬角質に引き締まった、かつ、清流の如き澄んだ潤いも豊富に備える、中々折り目正しい小石風タッチによる、ある時はクール・ジェントルな哀愁ロマンを、またある時は熱くイナセな吟醸ソウルをイキイキと歌い上げる、正攻法の生鮮闊達なメロディック・プレイが、ブレのない、そして開放感ある何とも爽やかな映え具合を見せた快打内容。硬軟兼備で歌心充分な、ハード・バップの本道ド真ん中をまっしぐらに突き進んで悔いなし!、といった感じの、1曲1曲はわりかし簡潔にまとめられた明快旨口な娯楽的行き方が続き、アイナーソンの、一音一音に堅固な確信と瑞々しい情味を宿した、正々堂々たる「シブめ雄渾詩人」風のアドリブ活躍が、輪郭も太くおいしい見せ場を飾ってゆく。パウエル型の伝統的バップ語法をストレートに活用した、角張りシルエットの中に微妙な軽みや滑らかさも按配よく備える、レトロ&ストイックげな殺陣風のスウィンギン・アクション技、並びにそれを応用した朴訥げでハートウォームな「しみじみムード」の憂愁バラード、辺りでは、けっこう昔気質な燻し銀っぽい興趣を十二分に堪能させ、一方、モーダルなダイナミズム手法やエヴァンス以降の定番抒情派スタイルを加味した、力は八分目のニュアンス濃やかなメランコリック文脈、にあっては、その、バランスと洗練味を何げに保ったアプローチが、弾音こそ似ていないがC・ウォルトンやK・バロンにも底通する「渋〜い醸熟さ」を感じさせて、これまた絶品。衒いなき秀作。
1.
Nikki's Joy
2.
Cookin' At The Colonels
3.
I Guess I'll Hang My Tears Out To Dry
4.
Here's To You Mrs. Anderson
5.
Like A Blues
6.
With Love And Squalor
7.
Your Song
8.
That Sunday, That Summer
9.
Fleeting Moments
Steve Einerson(p)
Paul Gill(b)
Pete Van Nostrand(ds)
2011年9月録音(カナダ作品)
レーベル:
Cellar Live
こちらで試聴出来ます
Steve Einersonのサイトへ
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CD