●バークリー音大に学び、ロンドン・シーンで活躍する個性派女性ピアニスト:Zoe Rahman(英国のChichester生まれ、父はベンガル人、母は英国人)のアルバム5作目、＝トリオにクラやフルートも加わりながらの、アイルランド、ベンガル(バングラディシュ)等の民族テイストを絡めたコンセプチュアル奏集。陰影深くカッチリ角張った、キレのいい精悍げな硬質タッチによる、ブルージー・ソウル&ダイナミズムをみなぎらせた正々堂々の力強いストレートアヘッド・プレイ!、が壮快に絵を飾り、情魂豊かなクラリネット吹鳴も中々濃い彩りを添えた、エモーショナル&テイスティーな豊穣内容。ブルース色濃い正攻法のモーダル・バップ熱演でパワフルに、旨味たっぷりに盛り上がって見せたかと思えば、クラ入りの数曲ではエキゾティックな神秘的or舞踏的スピリチュアル路線に図太く横滑りして行ったり、また一部では、Rahman(p)がピアノの内部弦を執拗にいじくり回してノイジーなオブジェ然と叩き鳴らし続ける、フリー派タイプの実験的インプロ曲もガツンと現れてきたりと、いささか芯の掴みにくい、煙に巻かれるような道程展開ではあるが、そうした中でピアノ:Rahmanの、ほぼ一貫してスピリチュアリティやブルース・フィーリングを濃厚に湛えた、わりかし豪快武骨げでストロングな立ち働きが好もしく(問答無用っぽく?)際立っている。→重心のしっかりした岩石様の骨太な音色も勇ましげに、アーシー&ソウルフルな吟醸グルーヴ肌のメロディー感覚と、よりエスニック・フォーキーなおおらかめの歌謡(民謡)センス、を鮮やかにドッキングさせて、生々しい熱情の脈動をイメージさせる実に感動的な哀愁メロディック文脈、を確固と編み上げてゆく、そのタフで凛々しい語り口は説得力充分で、即興がエキサイトしてくると、不協和音交じりのガキゴキした荒っぽいアクロバティカル・アクション攻勢、へ手癖っぽくなだれ込んでゆく、辺りの豪放さも微笑ましい魅力。
1. Down To Earth
2. Conversation With Nellie
3. Maya
4. Forbiddance Mana Na Manili / My Heart Dances, Like A Peacock, It Dances Hridoy Amar Nache Re
5. Butlers Of Glen Avenue
6. Outside In
7. Imagination Hridoy Amar Prokash Holo
8. Rise Above
9. Fly In The Ointment
10. Contusion
Zoe Rahman(p)(acc on 5)
Idris Rahman(cl on 3,4,5)(bcl on 7)
Courtney Pine(a-fl on 2)
Oli Hayhurst(b)
Gene Calderazzo(ds)
2011年2月28日&3月1日Curtis Schwartz Studio録音
レーベル：
Manushi
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紙ジャケット(三面)仕様CD
