★Basho諸作で好評を得てきた英国の人気ピアニストT・ラプソーン(1976〜)の、今回は、トリオのバックにストリング・カルテット(一部ギターやパーカッションも加わる)や女性ヴォイス(1曲のみ)を配しての、意欲溢れる自作曲集。
★抑制の利いた端正な、潤いと重みある旨口っぽいクリアー・タッチでの、硬質的ダイナミズムも加味しながらマイルド・ブルージーに哀愁を歌う、均整のとれたメロディアス指向の歯切れよい現代バピッシュ・プレイが、ストリングスによるムーディーな背景音響の効果もあって、実にカッコよくスッキリとした映え具合を見せた快打内容。
★概ねバックグラウンドなムード演出をメインとしつつ一部では表舞台のテーマ・アンサンブルに大きく噛ませたりの転回もあるストリングスの的確活用、など、アレンジ・構成面の意匠もそれなりに凝らされてはいるが、基本的にはあくまでトリオ単独の活躍シーンが全体を通じてのキモを成している感じの、わりかしシンプルなアクション型抒情派タイプのストレートアヘッド快演が(適宜ドラマティックに)連続。ラプソーンの、エヴァンス&ハンコックの成果を十全に消化した、耽美ロマンと硬質力学の振幅を大きく自在に呈するモード系リリカル派の王道スタイル、を変わらぬ身上として毅然げに歩を進めてゆくその、ブレのない威風堂々の勇躍が好調だが、今作では、ゴスペル調の#2、超ダウン・トゥ・アースな#4、といった、「ブルース」にとことんこだわってのスピリチュアル&ソウルフルな生々しい濃い口大熱演、が(本アルバムの裏テーマとも思える)殊の外芳醇なアクセント=ダシの素を成していて、一本調子になることなく最後まで清新な気分でキッチリ楽しませてくれる。
1. Silently サイレントリィ
2. Fo-Ray フォーレイ
3. Wondering ワンダリング
4. Transport トランスポート
5. Leap リープ
6. The Dreamer ザ・ドリーマー
7. Moment モーメント
8. Swings & Roundabouts スイングス&ラウンドアバウツ
Tim Lapthorn ティム・ラプソーン(p,comp,arr)
Arnie Somogyi(b except 7)
Stephen Keogh(ds except 7)
Navarra Strings(vln,vln,vla,cello except 4,5,7)
Polly Gibbons(backing-vo on 2)
他
英国ロンドンのRed Gables Studio録音(2012年作品)
レーベル:
Spice Of Life
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デジパック仕様CD
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