★ソングライター・タイプの個性派ヴォーカリスト兼マルチ・キーボーディスト(&サウンド・クリエイター)として、1990年代よりデンマーク・シーンで精力的に活躍し、進取性に富んだ意欲的なアルバム群を続々と発表する一方、マイケル・マントラーやアルド・ロマーノの企画レコーディングにも客演し、鮮烈なスター性を発揮してきた才媛:スーシ・フルゴール(1963〜)。
★これは、アルバム5作目にあたる、2007年にEnjaからリリースされた人気作「Magic Words」の日本盤化。演目は既製の名曲群。編成はソロ+αの最小体制(曲により変動)を基本に、Danish Radio楽団が加わるトラックも。
★透徹クリーンな風合いの中に仄かな翳りと冷涼味を宿した、適宜厚みがあって伸張力も充分な中高音のモノクロームっぽい清爽ヴォイスによる、抑えを利かせて滑らかに流線的メリハリを描いてゆくリリカル指向のクール・ブルージーな端麗歌唱が、瑞々しくも旨味ある映えを示した、何げに含蓄深そうな好内容。
★ハード・バピッシュなジャズ形式、不思議夢幻トリップっぽいニューエイジ趣向、ニューウェイヴ・ロックのようでもあるフューチャー・ファンク調など、スタイル・演奏形態は刻々と変移しつつの、快テンポで小気味よく簡潔に進行するファンタジック・グルーヴィーな道程が連続。フルゴールの、ヒンヤリした「スノーホワイト」な声質を自然に活かしきった、クール派的発声による繊細柔和な抒情指向の優しいジャズ唱法、を全体通じての柱として、爽涼かつ妖艶にしっとりとアンニュイ・ドリームの世界へハマらせてくれる一方、よりハスキー・スモーキーに陰影を強調しつつのスウィンギンな躍動的ブルース節や、事後の音声加工〜メカニックなトリックを施した電脳コラージュ?風のポップス路線、などの転回も次々と盛り込まれて、聴く者を快適に幻惑してゆく、という、その万華鏡的な滑脱自在のアプローチ(しかし色彩イメージはやはり白黒)がノリよくトントン拍子に満喫できるユニーク編。
1. スロウ・ホット・ウインド
2. ティーチ・ミー・トゥナイト
3. ラヴ・フォー・セール
4. イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ
5. キーモ・カイモ
6. アイ・ウィル・セイ・グッドバイ
7. ムーンダンス
8. シェルブールの雨傘
9. イン・ザ・サマータイム
10. ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ
11. ベイビー、イッツ・コールド・アウトサイド
Susi Hyldgaard スーシ・フルゴール(vo,p,key,acc,electronics)
Niels Gerhards(tb)
Erling Kroner(tb)
Kasper Winding(key)
Jannik Jensen(b)
Carsten Sonderskov(ds)
Aldo Romano(vo)
Danish Radio Big Band
2007年作品
レーベル:
Muzak(原盤:Enja)
在庫有り
国内制作 HQ-CD