●デンマークの現代ジャズ・シーンを代表するオールラウンド・ドラムの実力者であり、自己の企画ユニット:Moveを始め、Danish Radio楽団や、故ニールス=H・O=ペデルセンのトリオ、H・ウルリクやS・スワローとのコラボ等々、幅広い人脈の中で八面六臂に辣腕を揮い続けてきた30年選手J・ヨハンセンの、久しぶりとなる自身のライフワーク的プロジェクト:Move(長年の盟友:フレドリク・ルンディンをフィーチュアしたカルテット)を率いての一作。繊細巧緻さと豪快な押せ押せパワーを併せ持ったドラムの、キレ味鋭く滑脱自在な「一人遊撃隊」っぽい機動ぶりが、決して出しゃばることなくも実に的確な誘導役&挑発刺激剤役をしっかりと担いつつ、テナーサックスを主役としたリリカル・サスペンス調の迫真熱演が、重みをもって中々スリリングかつテイスティーに展開してゆく敢闘内容。スペイシーな浮遊型の(心象スケッチ風)バラード・インタープレイ・スタイルがわりかし頻繁に現れる他、リズム形式は刻々と多種多様に変移してゆく中で、ごくストレートアヘッドな現代モード・ジャズの正統、然たる快演が紡がれてゆき、楽想・世界観的にはファンタジックな詩情に溢れるものの甘さに流されるところは全くない、という、絶妙の均衡点を堅持した道程が実に生鮮明晰に、高い密度で創出されていて見事。F・ルンディンの、ソフト・スムースな遊泳調子でちょっとアンニュイげに夢幻情緒を映しながらも、内省気分に陥ることなく結構モーダル・バピッシュな王道筋っぽい骨芯がその筆致に保たれていたり、或いはまた、熱血アグレッシヴなスピリチュアル派アクション風の激烈咆哮にさえ、どこかカラッとしたクール・ドライな清爽味が絶えず漂っていたりなど、巧まず間口の広い「エンタテイメント」をキッチリ成立させてしまうその、熟成された鳴音キャラは得難い魅力。
1.
Today I Slept A Little Late
2.
Resurrecting Benjamin Blue
3.
The Perfect Day
4.
Coasting
5.
The Hat
6.
Cara Mananera
7. Montmartre
8. Alfonsina Y El Mar
9. Helt Rundt Pa Gulvet
10. Sunny Boatman Street
11. Swaying Gently Sideways
Fredrik Lundin(ts)
Jacob Christoffersen(p)
Daniel Franck(b)
Jonas Johansen(ds)
2010年12月13-14日スウェーデン-イェテボリのNilent Studio録音
レーベル：
Stunt
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