ブリュッセルやミュンヘンでの活動を経て、現在はフランスで活躍するキャリア豊富な正統派ピアニスト(歌手でもある):Michel van der Eschの、トリオによるパウエル、モンク、ミンガスらの名曲を主演目とした一編。陰影深く重厚げでいて、キレや爽涼感も自然と備わった、中々表情豊かな生鮮ピアノ・タッチによる、バップ・ピアノの伝統にしっかり根ざした、ブレなくも幅のある旨口プレイがシブ凛々しげに、輪郭の太い映えを見せた好投内容。単純明快で毅然としたブルージー・スウィンギン熱演が、歯切れよく重みを持って精悍に紡がれてゆき、van der Eschの、武骨さ・強堅さとクールな清新味が入り混じった何げにユニークなアドリブ奮戦が、迫真のスリルを伴いつつ味わい深い魅力を放ってゆく。パウエル流のバップ・イディオムを根幹としながら、モンクに接近した変則リズミカルな力学指向のパーカッシヴ・アクション技も頻用し、転回として、高音部ブロック・コードによる粋筋ファンキー節や、マル・ウォルドロン似の暗黒スピリチュアル・ムード濃いモーダル・バラード文体、などを的確に織り混ぜてゆく、という、全体的にはわりかしオールド・ファッションめの硬派でゴツい芸風なのだが、音色そのものの鳴り様や録音効果によって、エコーも強いサロン風の「ヒンヤリしっとりした潤い&透明感」が徹底強調されているため、必ずしもハードなレトロ派っぽくは聞こえてこず、けっこう爽やかな音像イメージになっているところがミソ。
1. Dear Old Stockholm
2. Wail
3. Ouverture
4. Un Poco Loco
5. Eronel
6. Selfportrait In Three Colors
7. Little Rootie Tootie
8. Villegiature
Michel van der Esch(p)
Olivier Rivaux(b)
David Pouradier Duteil(ds)
2010年10月フランス Studio de Meudon録音
レーベル：本人の自主制作(Zig Zag)
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デジパック仕様CD
