Munich諸作で評判をとってきた中堅テナーサックス(普段はアルトやソプラノもこなすマルチ派)奏者:Willem Hellbrekerと、名脇役ドラマーとしての顔も持つ超多忙な斯界の要人=ヴィブラフォンのFrits Landesbergen(1961〜)、というオランダの人気実力者2人が組んだ双頭カルテット＝Saxvibesによるスタンダード集。陰影深く適宜ドスの利いた肉太テナーの、悠然と大きな弧を描くような歌い泳ぎ様と、爽涼・豊潤にしてパーカッシヴな硬質感あるヴィブラフォンの、中々すばしっこく小回りの利いた速攻ブルージー・アクション技、の鮮やかな連繋で、何とも芳醇な旨口グルーヴ感を満喫させてくれる、大船に乗った気分の快適内容。アクティヴ寛ぎセッションの鑑!然とした、和気あいあいムードの明朗闊達な歌心派スウィンギン・バップ大会、が豪快爽快に紡がれてゆき、肉厚げでタフな推進パワーやおおらかな開放感に溢れる反面、ちょっとヒンヤリ艶やかなヴィブラフォンの音響が、趣味のいいサロン風情〜瀟洒さを自然と醸し出してくる、という、味つけの按配も絶妙な音空間造形が成される中、メロディアス指向に徹した実に親しみやすいソロ・リレーが展開。Hellbrekerの、レスター〜ゲッツ系統のクール・スムースな流線的リラックス・フレージングを基調としつつ、時折ロリンズやデクスターに接近したような、ハード・ドライヴ感&キレを強化したアクション・ブロウも雄渾げに轟かせる、スケール充分の王道ハード・バッパーらしい語り口が冴え渡る一方、Landesbergenの、ポコポコ途切れる南国パーカッション様の(半メタリックめ)敏捷ダイナミズム表現と、より流麗潤滑なミルト・ジャクソン・タイプの都会的ブルージー・ソウル節、を細かに使い分けたドラマティックな機動ぶり、も中々の妙味。安心娯楽作。
1. It's All Right With Me
2. Driftin'
3. Moment's Notice
4. Chelsea Bridge
5. Nobody Else But Me
6. Remember
7. The Night Has A 1000 Eyes
8. How Insensitive
9. My Shining Hour
10. This I Dig Of You
11. I Fall In Love Too Easily
Willem Hellbreker(ts)
Frits Landesbergen(vib)
Jasper Somsen(b)
Haye Jellema(ds)
2010年5月録音(2010年オランダ作品)
レーベル：
Baileo Music Productions
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