★(自主レーベル)Blue HouseやM&Iよりの作品群がいずれも高い評価を得ていた、静岡県掛川市在住の女性ピアニスト:藤田ゆかり(東京都府中市出身)の、4年ぶりとなるアルバムは、トリオによるスタンダード中心の一編。
★骨太でガッシリ強堅、それでいてしっとり潤んだような艶っぽさや涼気も宿す、中々表情豊かな陰影深きクリアー・タッチによる、バップ・ピアノの伝統にしっかりと根を張った硬質・重厚なダイナミズム理念=殺陣アクション風のハードな言語感覚、を揺るぎなく備え、同時に、小粋で温和な歌謡フィーリングも自然に垣間見せる、抑えの利いたテイスティー・グルーヴィーな闊達プレイが渋い絵を飾った、熟味香る快打内容。ストレートアヘッドなハード・バピッシュ・ピアノ・トリオの王道を真っ直ぐに突き進んでゆくような、輪郭太く重みある正攻法熱演がガッチリ頼もしげに、かつ温かに展開してゆき、藤田の、焦げたような濃いダークネスを一音一音に湛えた「硬派で旨口」な語り口の妙、がちょっと燻し銀っぽく確固たる好調ぶりを見せてゆく。
★トリスターノやパウエルにも通じる、ガキゴキ・ゴツンと迫るヘビー&ビターな力学的パーカッシヴ・アクション技、を得意の柱としながら、幾分か荒削りで豪快な粋筋ファンキー節を軽やかに混ぜ込んで見せたり、バラードでは超デリケートでナイーヴげな哀切ロマンティスト面もじっくり腰を据えて発揮したりと、適度にバリエーション転回を示してゆくも、
基本的なアウトライン・イメージは「翳り濃い硬派バッパー」キャラから決して逸れることがない、というその、一本ビシッと骨芯の通った鳴音のあり様は説得力絶大だ。
1. Charade
2. ロシアより愛をこめて
3. 哀愁のヨーロッパ
4. A Foggy Day
5. Angel Eyes
6. The Littlest One Of All
7. Lady Emma
8. Oblivion
9. Wishing You Were Here (オリジナル)
10. 枯葉
<ボーナストラック>
11. 爪
藤田 ゆかり Yukari Fujita(PIANO)
佐瀬 正(BASS)
田鹿 雅裕(DRUMS)
2011年1月11日,12日 東京 録音
レーベル:
フォーキャスト ミュージック
在庫有り
国内制作CD